『後藤は思う』 Vol.5 2008年7月
「温暖化効果ガス(GHG)削減について」  その2 
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 テレビ等で気候変動、温暖化の話が花盛りである。過日、東京都の条例、2020年に25%削減についてのさまざまな反響を映し出していたが、アレッと思うようなものもあった。そのひとつが不動産賃貸のMビルの担当者で、「このままだと一日3時間(?)、ビルの稼動を短くしなければならない」みたいなことを述べられていた。

 疑問は2つあって、ビルのGHG25%削減はそんなに難しいのか、不動産賃貸業にとって本当に不利な条例なのか、というである。

 筆者は国交省のある審議会の環境部会の臨時委員を5年間勤めさせてもらった。そこで、さまざまな委員から出される意見で変わらないのは、既存の技術で相当の省エネは可能ということであった。
 数年前、お台場のある飲料会社の新本社ビルを見学させていただいたことがある。記憶なので正確ではないが、省エネ対策として3億円程度余分にかけ、結果として20〜30%(?)、の省エネができそう。削減できる電気代が年間9千万円強なので3年ちょっとで元がとれる、というものだった。

 さまざまな意見を総合すると新設ビルで25%の削減は難しいことではなく、十分ペイする形で対策がとれるようである。問題は既設ビルである。
ビルのエネルギーは主として、照明、空調、OA機器に使われる。OA機器は賃貸業者としては管理不可能かもしれないが、テナントとしては管理しなければならないエネルギー使用源であり、今後もっともメスが入る分野のひとつである。
 照明は、5分の1に削減は無理にしても、新型電球で大幅削減が可能であるし、空調も運転管理や機器の取替え、ガラス二重窓化等で大幅削減が可能である。2020年までメンテナンスで設備整備が全くゼロということは考えられない。12年間の時間という強い味方がいるのである。
 筆者が報告書第三者意見を書かせてもらったイオンモールはなんと2012年に2007年度比30%削減を掲げておられるのである。

 不動産賃貸業にとって東京都の条例は本当に不利なのか。
省エネに取り組まねばコスト高になるので、これからテナントもエネルギーコストには神経質になっていくことが予測される。省エネ法の改正で多くの事業者が取り組み強化せざるをえなくなってきているし、今後とも強化されることが予測される。省エネビルはウリのひとつにならないのか。
従来は、テナントに省エネ行動を求めることは拒否反応を引き起こしたかもしれないが、条例を盾にしてやりやすくなるのではないか。今後、エネルギーコストは上がっていくであろうが、直ちにすべては転嫁できないとすれば、省エネ設備投資は中長期的には十分ペイするのではないか。
 「適切に設計された環境規制は国際競争力を増す」というポーター仮説を持ち出せば、東京都条例は賃貸業にとって、絶好の環境規制ではないのか。

 Mビルの担当者は十分に検討して発言しているのかどうなのか。実は「経営者は内心ウハウハなのを隠すために、担当者に大変だと言わせているのではないか」というのが知人の一人のうがった見方・評価であるが、どうであろうか。

後藤敏彦
環境監査研究会代表幹事
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