書評: 『食のリスク学―氾濫する「安全・安心」をよみとく視点』
             中西準子著、㈱日本評論社発行
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 中西準子先生は、私に衛生工学の分析化学実験の単位を下さった先生です。
 学生時代は、水俣病だとか流域下水道批判などで、私に強い印象を与えた方です。
 中西先生は、その後、環境リスク学の集大成に邁進され、その成果は「環境リスク学」(日本評論社)として結実しております。その思想を私なりにまとめると、全てをリスク評価で判断していこうという生き方であると思います。
 今回、このリスク学を食の分野に適用したものです。
本書が訴えるポイントを一言で述べると、フードファディズムからの脱却ということでしょう。フードファディズム(Food Faddism)とは、食べ物が健康や病気に与える影響を過大に評価したり信奉したりすることだとされています。
 莫妄想(禅語です)してフードファディズムから脱却すれば、食べ物に悩むことなく、楽しい人生を送れるでしょう。
その意味で、食べ物について悩むすべての衆生は、本書を一読されると良いと思います。
 中西先生は、今後は、地球環境問題と食の安全・健康問題に真剣に取り組む所存とのことです。
 こうなると、リスク評価だけでは対処できないと思います。具体の社会システムをどうするのか考えることが必要となるでしょう。すなわち批判者から変革者あるいはエンジニアへの変身が求められるということだと思います。
 その点では、野菜工場・植物工場についてもっと真剣な検討が必要だと思います。産総研などで扱っている完全制御型の植物工場だけでなく、既に広汎に使われている自然光利用型の植物工場(つまりハウスです)まで視野を広げる必要があるでしょう。
 また、「土地を耕して種を播く」という従来型の農法の呪縛からも、早く脱却する必要があるでしょう。
 中西先生も円熟の時を迎え、本書も極めて読み易いものになっています。2、100円と値段も手頃なので、皆さんの一読を薦めます。
水谷潤太郎
日本上下水道設計株式会社
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