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1.EMSを導入する際の自治体の活動・サービスの考え方

 ISO14001では、「活動・製品・サービス」について「管理可能か/影響を及ぼせるか」ということをベースに考えています。
 行政の活動・サービスを考えるにあたっても、「管理ができる」「影響を及ぼすことができる」活動に分けてみることが有用となるでしょう。

 

<例>行政の活動・製品・サービスとその管理との関係

 

管理できる

影響を及ぼせる

活動

製品

サービス

・道路やまちづくり等の企画・計画

・オフィス活動

・委託

・調達

・上水

・住宅

・公営施設

・エネルギー

・出版物(自治体報)

 

・下水処理

・廃棄物処理

・道路・まち

・公営鉄道・バス

・条例制定

・許認可

出先機関

 一方、「英国地方自治体のためのエコマネジメント・監査制度ガイド」(発行:(社)東京自治研究センター、(財)地球環境センター)では行政の業務を直接的影響(サービスを実施するプロセスに起因する環境影響)・サービス影響(地方自治体または他の組織が供給するサービスによって生じる、環境上の影響)に分けて考えています。
 しかしながら、この区分は、行政の活動を分析し、
EMSに当てはめて考えていく際には実は曖昧な点があります。
 では、行政の本来の業務である行政サービスの部分、施策や計画の策定やその展開による環境影響の部分をEMSの中ではどう扱えばよいのでしょうか。
 究極は政策アセスメントの実施、ということになるのでしょうが、これは現時点での行政では難しいと考えられます。当面は、行政施策全体を掌握する総務部等で、施策立案などの際に一度、環境というフィルターをかける仕組みを作ることが考えられるでしょう。

2.出先機関についての考え方

 出先機関とは、組織上首長管理下にない、法律上、独立した組織のことです。具体的には以下のようなものがあげられます。

委員会 教育委員会・市議会・選挙管理委員会・監査委員会・農業委員会・消防本部

・水道部

公社 土地開発公社・阻止進行公社・福祉公社・医療公社
一部事務組合

 上記のような組織に対して、本庁はその機関の目的業務内容については要求を行うことはできませんが、環境問題については要請を行うことができると考えられます。従って、これらについては「影響を及ぼしうる範囲」という位置づけとなります。
 自治体がEMSを構築する際、これら出先機関については、本庁系から影響を及ぼし得るような仕組みをもつEMSを作るか、これらの単位それぞれで独立したEMSを作ることべきでしょう。
 例えば、先頃ISO14001の認証を取得した上越市では、EMSの対象から、教師の任用件がない小・中学校をはずし、また、地方議会、教育委員会、農業委員会を特別な扱いとしています。
 逆に、市がEMSを構築するにあたって、これらの機関をその範囲から(将来にわたっても)はずす場合は、明確な理由が必要となります。
 なぜならば、出先機関をEMSの対象からはずすことが認められてしまった場合、廃棄物処理などの環境に重大な影響を及ぼしうる組織を全て出先機関としてしまうことも考えられ、その場合に構築された本庁のEMSは無意味に近いものとなってしまう可能性があるからです。
 やはり認証を取得している千葉県白井町では廃棄物処理施設がいくつかの自治体とで構成する一部事務組合となっており、今回の認証範囲からははずれています。この部分についての町の今後の対応について、関心を持っていきたいところです。
 本庁から出先機関へ影響を及ぼしうる仕組みとは、先にも述べたように、本庁から出先機関に対して、環境に関わる事項について要請を行うような仕組みです。また、その出先機関の活動、サービスの中で環境影響が大きいものがある場合は、場合によって条例・その他の整備などを通じて、新たに網を掛けるなどということも可能と考えられます。ただし、この場合、国の法律で保護されている部分については要求はできません。

3.今後の課題

 行政の場合、行政サービスの結果による環境影響が非常に大きいと考えられます。
 行政においては、行政サービスを含めて、環境マネジメントシステムの対象とする範囲を明確にし、その範囲の環境パフォーマンス評価を適切に行うこと必要です。また、行政という特性上、行政計画の実施結果や、内部監査、環境パフォーマンス評価の結果を地域市民に公表していくことが望まれます。その際には、何故その結果となったのか、今後どうするのか等の方向・対策を提示していくことが求められるでしょう。
 また、経営資源の配分など、企業とは異なる仕組みの基に行われてきた分野について、今後、どのような対応がなされていくか注目すべき点でしょう。


環境監査研究会事務局
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